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白い表紙に丸と線の図

書籍名

EBPMの経済学 エビデンスを重視した政策立案

判型など

368ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2020年2月27日

ISBN コード

978-4-13-040291-0

出版社

東京大学出版会

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EBPMの経済学

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本書は、最近の政策立案を取り巻く環境変化を捉えて、経済学を代表する気鋭の研究者と政策立案の中核を担う中堅政策担当者が、政策立案というテーマを軸にコラボした取り組みをまとめたものです。
 
私たちの日々の暮らしは、陰に陽に様々な形で、政府の政策が関わっています。食べ物に対しては、消費期限がきちんと表示されることが法律で決められていますし、移動する場合にも、自家用車であれ、公共交通であれ、安全性の確保に関する基準が定められています。新型コロナウィルス感染がなかなか終息をみせないなかでは、観光や外食産業等を活性化させるためのGO TOキャンペーンや中小企業を守る持続化給付金など、コロナ禍で体力が弱る民間企業の肩代わりを政府が政策によって行っています。
 
こうした私たちの暮らしに密接に関わる政府の政策立案過程が、今大きく変わろうとしています。これまで、ややもすると、声の大きいステークホルダーの意向が政策に反映されるという「エピソード・ベース」の政策が立案されがちと言われてきました。しかし統計の整備が進み、海外でも統計などのエビデンスを踏まえた政策立案 (EBPM) の取り組みが進むなかで、わが国においても「エピソード・ベース」から「エビデンス・ベース」へと政策立案の取り組みを変えていくことで、政策の透明性や説明責任を高め、政治主導のなかで国民にしっかり説明のできる政策を作っていこうとする機運が高まっているのです。
 
もちろんエビデンスのみで政策が立案されるのであれば、いずれはAI (人工知能) でも政策立案ができるようになりそうですが、今のところ、未だそのようにはなりそうにありません。エビデンスはあくまで過去の記録です。そうした過去の経験に依拠し過ぎると、逆に政策立案に都合の良いエビデンスを作ろうとするPBEM (policy-based evidence making) が横行しかねないでしょう。将来の不確実性が高まるなかで、過去からの学びを最大限生かしながら、将来に向けての政策立案を行うバランスが求められていると言えます。
 
本書では、労働・教育・社会資本など6つの主要な政策分野で活躍する経済学者の眼から見たあるべきEBPMの姿を語ってもらい、対応する政策分野において活躍する中堅の政策立案担当者から、現場の実務的な観点からEBPMの取り組みに求められる環境整備などについて述べてもらっています。そして、それらをまとめる形で総説と終章を構成してみました。EBPMを進める上での課題は、各政策分野において異なっており、手法やアプローチも違って当然と言えます。本書からは、政策現場に求められる仮説検証を通じた政策立案・評価に必要なエビデンスと、現実に収集可能なエビデンスとの間にギャップがあるなど、様々な論点が浮き彫りにされています。また本書は、匿名の政策担当者2名をレフェリーとして参加してもらい、政策立案の観点から全体の整合性を俯瞰しようとする試みもしています。
 
EBPMの取り組みは、これから政策担当者と学会が手を組みながら、更なる深化と進化をしていくことでしょう。本書は、その先駆的な取り組みとして評価できるのではないかとひそかに自負しています。
 

 

(紹介文執筆者: 公共政策大学院 院長 大橋 弘 / 2021)

本の目次

はしがき(大橋 弘)


総 説 EBPMを政策形成の現場で役立たせるために(金本良嗣)
 1.はじめに
 2.政策形成の現場におけるEBPM
 3.日本及び海外における政策評価とEBPM
 4.政策評価の中におけるEBPM
 5.政策の効果を推定する手法
 6.海外におけるEBPM事例――英国の電力容量市場
 7.おわりに―― EBPM定着のための課題

【コメント】政府におけるEBPMはどのような一歩を踏み出しているか(越尾 淳)
 1.はじめに
 2.EBPMに取り組むとはどういうことか
 3.EBPMの具体化に至る経緯
 4.推進体制の整備
 5.人材の確保・育成
 6.統計等データの利活用促進
 7.EBPMの実例の創出
 8.おわりに

第1章 教育政策におけるEBPM――データベースの構築によるエビデンスの蓄積と活用(田中隆一)
 1.はじめに
 2.海外における教育EBPMの現状について
 3.日本における教育EBPMの現状について
 4.地方自治体におけるEBPM
 5.おわりに

【コメント】教育EBPMにおける「データ収集」の重要性と課題(樫原哲哉)
 1.はじめに
 2.地方自治とEBPM
 3.機微情報の取扱い
 4.「政策効果の指標」の定義
 5.おわりに

第2章 労働政策におけるEBPM――労働政策決定の正統性との関連から(神林 龍)
 1.はじめに
 2.旧来型労働政策決定の仕組み
 3.労働政策決定におけるEvidenced Based Policy Making
 4.おわりに

【コメント】労働政策におけるEBPMの可能性(中井雅之)
 1.はじめに
 2.労働政策審議会の三者構成原則とEBPMとの関係
 3.実効ある労働政策の実施のためのEBPMの実装
 4.おわりに
 補論 労働政策の財源について

第3章 医療・介護政策におけるEBPM――医療費適正化政策の施策効果を検証する(岩本康志)
 1.はじめに
 2.医療費適正化計画と政策評価制度
 3.予防医療の政策目的と成果指標
 4.施策の効果分析
 5.活動・成果目標水準の設定
 6.統計データ基盤の問題
 7.おわりに

【コメント】EBMから学ぶEBPMに必要なステップとEBPMならではの注意点(松本晴樹)
 1.はじめに
 2.EBM(Evidence-based Medicine)のフレームワーク
 3.EBMとEBPMの違い
 4.EBPMの実際――エビデンスを活用して政策を作るためのツール「SURE」
 5.政策立案者にエビデンスを届け,政策とするには
 6.おわりに

第4章 交通・社会資本政策におけるEBPM――費用便益分析の一層の活用を(城所幸弘)
 1.はじめに
 2.EBPMにおける客観的証拠と交通投資・社会資本投資
 3.時間に関する不確実性の問題への対処
 4.客観的証拠から費用便益分析へ
 5.EBPMの遂行体制に関する問題点
 6.既存の政策評価体制から見たEBPMの望ましいあり方
 7.おわりに

【コメント】社会資本整備分野のEBPMにおける予測モデルの役割と不確実性の直視(三善由幸)
 1.はじめに
 2.社会資本整備分野において求められるエビデンスの質を改善するための方向性
 3.政策評価(費用便益分析を含む)のコミュニケーション
 4.おわりに

第5章 課税政策におけるEBPM――労働所得税とマイクロシミュレーションの活用を中心に(林 正義)
 1.はじめに
 2.課税政策の評価
 3.「公的言説」とエビデンス
 4.租税研究とEBPM
 5.おわりに

【コメント】税制改正におけるEBPM(大関由美子)
 1.はじめに
 2.税制に係わるEBPM関連の制度
 3.税制改正におけるEBPM関連制度の活用
 4.税制改正におけるEBPMの方向性
 5.おわりに

第6章 電力政策におけるEBPM――供給安定性に焦点をあてて(大橋 弘)
 1.はじめに
 2.電力政策における3Eの変遷
 3.供給安定性
 4.供給安定性におけるEBPM
 5.おわりに――胆振東部地震後のレジリエンス確保の取り組み

【コメント】電力政策における複数の価値軸とEBPM(鍋島 学)
 1.はじめに
 2.経済効率性
 3.環境適合性
 4.供給安定性
 5.経済効率性,環境適合性,供給安定性の関係
 6.おわりに


終 章 政策立案の力を研鑽できる場の構築を目指して(大橋 弘)
 1.EBPM推進と統計改革
 2.EBPMの取り組みと気づき
 3.EBPMの今後
 

関連情報

書評:
深谷健 評 (『公共政策研究』21巻p.154-155 2021年12月10日)
https://doi.org/10.32202/publicpolicystudies.21.0_154
 
乾友彦 (学習院大学教授) 評 「証拠に基づく政策の啓蒙書」 (『日本経済新聞』 2020年5月2日)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO58700340R00C20A5MY5000/
 
書籍紹介:
経済学の書棚: 前田裕之「証拠に基づく政策形成「EBPM」をどう導入するかが分かる本」 (『日経BOOKPLUS』 2023年7月6日)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/122100175/062800013/
 
エコノミストが選ぶ 経済図書ベスト10 (『日本経済新聞』 2020年12月26日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFG00022_X11C20A2000000/
 
三輪芳朗「論壇 日本政府のEBPM推進の取り組み,その開始から現状に至る過程 ─ 大橋弘編[2020]『EBPMの経済学:エビデンスを重視した政策立案』(東京大学出版会)の刊行を契機に ─」 (『経済学論集』83巻1号p.55-122 2020年5月1日)
https://doi.org/10.32173/jeut.83.1_55

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